説教要旨
10月4日 「秘められた計画」 大村 栄牧師
ローマ書11:25~36
◇ローマ書は前半で、イエス・キリストを「信じる者すべてに与えられる神の義」(3:22)を主題としてきた。だが後半の9章以下では、すべての人に与えられる信仰による救いを、肝心のイスラエル人が拒絶した。それは「信仰ではなく、行いによって」(9:32)救われると考える律法主義に彼らがおちいったからである。
◇アブラハム以来、神の民であったイスラエル人はつまずき、彼らが拒絶したキリストを信じた異邦人が救われる。自らイスラエル人であるパウロはこの問題に悩み、しかし気づかされた。神の救いは、人間の知恵では理解されない、神の「25:秘められた計画」による出来事なのだと。
◇「秘められた計画」は「奥義」、ギリシア語ではミュステ-リオン、ミステリーの語源である。誰がいつ、どうやって救われるかは、神の領域に属する謎である。「25:イスラエル人がかたくなになったのは、異邦人全体が救いに達する」ためだ、という不思議な計画が神にあったのだ。
◇パウロは同胞ユダヤ人の拒絶により、異邦人伝道に方向を変え、やがて福音はローマ全体に拡がり、さらに宗教改革を経て世界に宣べ伝えられた。今日は教団の定める「世界宣教の日」。世界中で「25:異邦人全体が救いに達する」という神の計画が実現している。その原点は皮肉にも「25:イスラエル人がかたくなになった」ことだった。
◇人間の頑なさの背後に神の「秘められた計画」があって、やがて救いに到る時が備えられているという神秘は、私たちに希望を与える。周囲の大切な人々への伝道に限界を感じ、失望したりする時がある。しかし、私たちには分からない将来の救いに関する神の「秘められた計画」があることを信じて希望を得たい。
◇「36:すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に永遠にありますように、アーメン」。すべてを支配される神を賛美し、その「秘められた計画」にゆだねて祈るしかない。
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