説教要旨
    月30日 「愛と赦しの沈黙」 大村 栄牧師
           ヨハネによる福音書8:1~11

◇「3:姦通の現場で捕らえられた女」の扱いについて、律法に忠実かどうかを試される主イエスは、「6:かがみ込み、指で地面に何か書き始められた」。「この時イエスは指で地面に彼らを断罪する言葉(罪状)を書いておられた」(ヒエロニムス)という説もある。「7:しつこく問い続ける」男たちは、社会の秩序を乱し、不正を行う「加害者」であるこの女への怒りと憎しみに燃えていた。

◇「7:イエスは身を起こして言われた。『あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。』8:そしてまた、身をかがめて地面に書き続けられた」。本当にこの女が加害者で、あなた方は被害者だと言い切れるのかと無言で問うている。

◇「9:これを聞いた者は、年長者から始まって、一人また一人と、立ち去ってしまい、イエスひとりと、真ん中にいた女が残った」。男たちが去ったあと、「10:だれもあなたを罪に定めなかったのか」と問い、「11:主よ、だれも」と答える女に、「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。これからは、もう罪を犯してはならない」。

◇ここに見る主イエスの愛は「赦すこと forgive」である以上に、「忘れること forget」だった。主が地面に指で書いたのが罪状書きだとすれば、それを見た者は罪責感に責められる。だがその文字はやがて風が消していく。それと同様に罪は忘れられていく。

◇しかしその罪を無かったことにするのではない。神は私たちの罪を砂の上に書いて忘れて下さるが、罪を犯す弱い私たち自身のことは、決して消えないところに書いて覚えていて下さる。「わたしがあなたを忘れることは決してない。見よ、わたしはあなたを、わたしの手のひらに刻みつける」(イザヤ書49:15-16)。この激痛を伴う行為こそが、愛と赦しの十字架の出来事だったのである。

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