説教要旨  5月31日 ペンテコステ
     「聖霊による教会の誕生」 大村 栄牧師
         使徒言行録2:1~21

◇「4:一同は聖霊に満たされ、"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした」。それは五旬祭のために各地から帰省した離散のユダヤ人たちに、言葉の壁を越えてその心に届く「神の言葉」だった。ペトロは「16:これこそ預言者ヨエルを通して言われていたことなのです」と旧約聖書ヨエル書3章を引用して、その実現だと言った。

◇預言者ヨエルは紀元前400年頃、バビロン補囚から帰還した時に、あの捕囚の試練は我々の不信仰に対する神の裁きだった。罪を悔い改めなければ、今度は捕囚どころか、世の終わりが来る。

◇ただし、神の裁きは世界に及ぶが、イスラエルだけは悔い改めれば救われると言った。そのような旧約ならではの排他的な預言だった。

◇パレスチナ問題は、20世紀のユダヤ人による強引な建国から始まった。ユダヤ人はローマ帝国に滅ぼされて以来、各地で迫害を受け、ヒトラーによる虐殺もあった。その歴史には世界が同情している。かと言ってイスラエルが、パレスチナ(イスラム系アラブ)人を追放して、自分たちだけの新しい国を作るのはあまりに排他的だった。

◇ヨエル書の信仰は、現代のイスラエルと同様に排他的だった。ペトロは、ペンテコステの出来事はヨエル書の実現だと言うのだが、彼の引用は、「21:主の名を呼び求める者は皆、救われる」で終わっており、その先の、ユダヤ人だけは裁きを免れるという部分を割愛している。

◇ペトロがヨエルの預言を読み替えたことにより、これは民族宗教を超え、言語の壁も超えて、全世界を包む「神の言葉」となった。それを聞いた人々に、ペトロは悔い改めとキリストの名による洗礼を勧めた。「38:そうすれば、賜物として聖霊を受けます」。

◇その「聖霊のバプテスマ」(尾山令仁)によって人は変えられ、世界の救いを求める者となる。それが「私たちのペンテコステ」である。

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